東京湾の外湾へ(3)

 ふたたび、三月の巻(おまけ)「外湾へ」の設定解説、ラストです。外湾の浜辺から帰りの電車のシーンまでをご紹介します。



 東京湾でも海は海

 行ってみないとわからないものですが、やはりありました「海ゴミ」。これはほんの一例ですが、発泡スチロールのフロートと漁業用らしきロープ片がご覧いただけると思います。川辺ではお目にかかれないので、つい見入ってしまったりします。

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 ガラス片や燃え殻が散在しているのは即ち、その場で投棄・焼却されるケースが多いことを物語る。だが、それは岸壁寄りの話。波打ちとテトラポッドの間、そしてそのテトラポッドの内側には、正に海ならではの漂着ゴミが見受けられる。近づかないとわからないものである。
 「川から流れてくる、というよりも外洋から? どっちだろ?」
 南実研究員は図りかねている。とにかく集めるだけ集め、調べるだけ調べるに限る。が、時すでに十四時半。
(櫻)「ペットボトル、プラスチック系、容器包装類... 川と変わらない気もするけど」
(文花)「ロープと、あとフロートね。これは干潟、いやポケビじゃ見ないでしょ?」
(六月)「硬いプラスチック片が多いのも特徴?」
(南実)「そうね。でも発生源は内陸だと思うな。」




 「あぶない」のはどっち?

 漂着後、誰かが立てかけたんだと思いますが、それにしてもなんでまた京浜河川事務所の看板があるのやら。電話番号がしっかり出ているので、通報して引き取ってもらえばいいのかも知れませんが...

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 埋没物までは手が回らなかったが、さすがにこれは見逃せまい。
(千歳)「ここって管轄?」
(初音)「さぁ、どうでしょ? 撮っておいてもらえば、親父、いや小湊さんにお伝えします。」
 川を出て、内湾を漂い、岬を廻って漂着してきたのだろうか。それは某河川事務所の警告看板であった。
(千歳)「持って帰りたいのはヤマヤマだけど」
(初音)「看板自体に『あぶない』って書いてあっちゃ、ひきますよね」




 大貫発14:53&14:54

 JR内房線 大貫駅は列車の入れ違いがよく行われるようで、作者が帰りにホームに向かう時も両方向から列車が入ってきました。14:53発は下り、終点の館山には15:44着。14:54発は上り、途中の蘇我には下りの館山と同じ15:44に着きます。この設定は、そのまま小説文中で使わせてもらいました。

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...一行が跨線橋を歩いていると、双方向から列車が入ってきた。
つまりギリギリセーフである。
 「じゃあ五人様、青春して来てくださいね」
 「お互い様でしょ、櫻さん」
 下りに続き、上り。ほぼ同時刻に発車する。そして到着時刻も同じ。行き先は上下で別なれど、である。
 15時44分、青春五人様は館山に、アラサーの三人は蘇我に着く。




(参考)JTB時刻表 2008年3月号(p.252)より

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