東京湾の外湾へ(2)

 前回に続き、ふたたび、三月の巻(おまけ)「外湾へ」の設定解説です。列車の南下に従い、富津岬を廻ったら、いよいよ外湾。一行は目的地へと向かうことになります。



 房総方面の路線図

 小説文中では「駅名大喜利」とやらで、「姉が先!」とか「袖がウラ~」とかやってた訳ですが、これは見慣れない駅名を目にした時の盛り上がり方の一例。この後も、馬来田で「まぁ、食った食った」とやってみたり、登場人物の名前と同じ駅を見つけて冷やかしてみたり、とキリ(喜利?)がありません。

 それでもこの「外湾へ」のラストでは、ある駅でちょっとセンチな場面が出てきたりもします。いろいろと使いようのある駅が多いのが、この方面の特徴と言えるかも知れません。

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 社会科見学のような話が交わされている隣りでは、
 「ハハ、千歳駅があるぅ」
 「行ってみる?」
 見慣れない路線図を見ていれば、それだけでちょっとした郷土学習になる。




 青堀から海までの距離

 姉妹の会話の通りです。いわゆる「東京近郊区間」を過ぎているので、鄙びた感じになってきますが、この辺りになると駅ホームには「名所案内」というのが見られるようになります。そこに出ていたのが、このkm表示です。(写真は撮りそこなってしまいました。)

 いつしか単線区間を走っていて、景色も緑が目立ってくる。海の近くを走っている筈なのだが、
(初音)「富津岬は西南に四・五km」
(小梅)「海水浴場は四kmかぁ」
 青堀で下車すると、ちと大変。若いとは言っても、この距離を歩くのは覚悟が要る。より海に近づくため、一行が選んだのは次の駅だった。




 大貫の海岸

 足を運んだはいいものの、適当な周辺案内図が見つからず、海に出るまで苦労しました。道中も現地でも海水浴場という表示は見かけなかった気がしますが、一応、そういうことになっているようです。





 ケータイで地図情報を出してもらうも、あぁだこうだの珍道中。片道十分強、少々迷うが何とかたどり着く。
(千歳)「おぉ、海だぁ」
(櫻)「といっても、東京湾」
 櫻に揚げ足をとられた恰好の千歳だが、微動だにせずその煌きを見つめている。光放つ波は八人を迎え入れるかのように優しく、眩い。
 浜辺と道路の間には結構な段差があるが、十代の三人は難なく降下して早々と駆け出す。遠くの波打ち際ではウミネコの群れが羽を休めているが、全くあわてる素振りはない。静かである。


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