王子神谷から千住桜木へ
舞台は荒川に戻ります。今回から何回かに分けて、都バス[王45]系統沿い(特に千住桜木界隈)のレポートをお届けします。(小説では「十月の巻 おまけ」~グリーンマップはブルーに対応します。)
王子五丁目の停留所
王子駅から西新井、赤羽、新宿方面に向かう都バスは、東京メトロ 南北線の上を走りながら、ここ王子神谷駅前に当たる「王子五丁目」停留所を通ります。ところが北千住駅や足立区新田に行く系統は、同名の停留所を通ることにはなっていても、ここからは乗れません。手前の消防署前の交差点で右折した先にその停留所はあります。当地に不案内だと乗り損なう可能性が...(特に[王45]は本数が少ないので、なお大変)(^^;
...団地や商店街の一角をウロウロした後、余裕を持って停留所に戻って来る。だが、どうもおかしい。「あれ? 北千住行きって出てないんだけど...」
地図はお得意の櫻だが、バスの路線図は少々読み損なっていたようだ。間違いに気付き、北本通りを王子方面に戻る途中、そのバスは右折のウィンカを点けて、車線変更したところで停車。「あっちだ、王子五丁目」「キャー」
ドジな二人が横断歩道を走る姿をいち早く見つけた六月少年は、運転手に声をかける。
「すみません、あの二人、乗せてあげてください」
信号が変わっても直進車がすぐに来ればこのバスはまだ発進することはなかったのだが、こういう時に限って反対車線はガラガラ。スムーズに右折してくれちゃうもんだから、さぁ大変。
リバーフロントバス
豊島七丁目から新田橋の間は「この曲がり角をバスが?」といった路地をウネウネ。ハートアイランドSHINDEN周辺も回り込むようにバスはゆっくり進みます。そこから先が[王45]のハイライト。都内有数の「リバーフロントバス」だと思います。
...落ち着かない二人に揺さぶりをかけるように、バスは豊島七丁目界隈のクランク状の曲がり角を縫い進んでいく。
「えっ、こんな路地をバスが・・・」 と櫻がおののく一方で、
「へへ、楽しい」 と少年ははしゃぐ。鉄道好きは重々承知だったが、バスも宜しいようで。
隅田川を越えると、巨大建造物が現われる。
「ハートアイランド?」
「あぁ、船からも見たじゃない。新田リバーステーションの近く。」
「漂流ゴミに気取られてて。気が付かなかったんだな、きっと。」
<中略>
十一時半過ぎ、ここからがこのバスの目玉である。荒川の土手を走るコース、その距離約四km。左に荒川、右に隅田川、リバーフロントバスと呼ぶに相応しい。
小梅と六月は「わぁー」と歓声を上げている。窓越しに見る荒川は、濃い青を蓄えつつ、降り注ぐ陽光をその青に溶け込ませ、程よい輝きを放っている。進行方向左側の席は特等席である。その光景を鑑賞している間、四人に言葉は要らない。土手上と名の付く停留所に近づくとアップ、過ぎるとダウン。その上り下りが予想外ではあったが、荒川が見え隠れするのがまた妙味。櫻と千歳は「おぉ」と唸っている。
お化け煙突

「千住桜木」停留所を降り、荒川土手を上がると、「西新井橋周辺」をコンパクトにまとめた地図にお目にかかれます。この案内地図を見て初めて、かの「お化け煙突」が隅田川の尾竹橋下流にあったことを知りました。現地に来ないとわからないことは多々ある訳で。
...六月は早速地図を見つけて、バスが通ってきたルートを確認している。
「櫻さん、イラストマップ用の紙は?」
「あ、そうそう、ちょっと待って」
櫻は予め千住桜木界隈と西新井橋を中心とした白地図を用意してあった。これにイラストを描き込み、必要に応じてアイコンシールを貼る、という手筈である。今日は「千住桜木グリーンマップ」のトライアル。目の前にある周辺地図と、その白地図を見比べる四人。
「お化け煙突って、この町にあったんだ。知らなかった。」
「お化け?」
六月は地図に書かれてある解説を見て、合点が行ったような行かないような顔をしている。
「四本の煙突の配置が絶妙だったらしくて、見る場所によって、一本から三本まで見え方が違ったんですって。人によって証言が違うから化け物呼ばわり。別にお化けが出た訳じゃないのにね。」

王子駅から西新井、赤羽、新宿方面に向かう都バスは、東京メトロ 南北線の上を走りながら、ここ王子神谷駅前に当たる「王子五丁目」停留所を通ります。ところが北千住駅や足立区新田に行く系統は、同名の停留所を通ることにはなっていても、ここからは乗れません。手前の消防署前の交差点で右折した先にその停留所はあります。当地に不案内だと乗り損なう可能性が...(特に[王45]は本数が少ないので、なお大変)(^^;
...団地や商店街の一角をウロウロした後、余裕を持って停留所に戻って来る。だが、どうもおかしい。「あれ? 北千住行きって出てないんだけど...」
地図はお得意の櫻だが、バスの路線図は少々読み損なっていたようだ。間違いに気付き、北本通りを王子方面に戻る途中、そのバスは右折のウィンカを点けて、車線変更したところで停車。「あっちだ、王子五丁目」「キャー」
ドジな二人が横断歩道を走る姿をいち早く見つけた六月少年は、運転手に声をかける。
「すみません、あの二人、乗せてあげてください」
信号が変わっても直進車がすぐに来ればこのバスはまだ発進することはなかったのだが、こういう時に限って反対車線はガラガラ。スムーズに右折してくれちゃうもんだから、さぁ大変。

豊島七丁目から新田橋の間は「この曲がり角をバスが?」といった路地をウネウネ。ハートアイランドSHINDEN周辺も回り込むようにバスはゆっくり進みます。そこから先が[王45]のハイライト。都内有数の「リバーフロントバス」だと思います。
...落ち着かない二人に揺さぶりをかけるように、バスは豊島七丁目界隈のクランク状の曲がり角を縫い進んでいく。
「えっ、こんな路地をバスが・・・」 と櫻がおののく一方で、
「へへ、楽しい」 と少年ははしゃぐ。鉄道好きは重々承知だったが、バスも宜しいようで。
隅田川を越えると、巨大建造物が現われる。
「ハートアイランド?」
「あぁ、船からも見たじゃない。新田リバーステーションの近く。」
「漂流ゴミに気取られてて。気が付かなかったんだな、きっと。」
<中略>
十一時半過ぎ、ここからがこのバスの目玉である。荒川の土手を走るコース、その距離約四km。左に荒川、右に隅田川、リバーフロントバスと呼ぶに相応しい。
小梅と六月は「わぁー」と歓声を上げている。窓越しに見る荒川は、濃い青を蓄えつつ、降り注ぐ陽光をその青に溶け込ませ、程よい輝きを放っている。進行方向左側の席は特等席である。その光景を鑑賞している間、四人に言葉は要らない。土手上と名の付く停留所に近づくとアップ、過ぎるとダウン。その上り下りが予想外ではあったが、荒川が見え隠れするのがまた妙味。櫻と千歳は「おぉ」と唸っている。

「千住桜木」停留所を降り、荒川土手を上がると、「西新井橋周辺」をコンパクトにまとめた地図にお目にかかれます。この案内地図を見て初めて、かの「お化け煙突」が隅田川の尾竹橋下流にあったことを知りました。現地に来ないとわからないことは多々ある訳で。
...六月は早速地図を見つけて、バスが通ってきたルートを確認している。
「櫻さん、イラストマップ用の紙は?」
「あ、そうそう、ちょっと待って」
櫻は予め千住桜木界隈と西新井橋を中心とした白地図を用意してあった。これにイラストを描き込み、必要に応じてアイコンシールを貼る、という手筈である。今日は「千住桜木グリーンマップ」のトライアル。目の前にある周辺地図と、その白地図を見比べる四人。
「お化け煙突って、この町にあったんだ。知らなかった。」
「お化け?」
六月は地図に書かれてある解説を見て、合点が行ったような行かないような顔をしている。
「四本の煙突の配置が絶妙だったらしくて、見る場所によって、一本から三本まで見え方が違ったんですって。人によって証言が違うから化け物呼ばわり。別にお化けが出た訳じゃないのにね。」
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