巡視船紀行(2)

 九月の巻(おまけ)「巡視船紀行」での設定等紹介、その二です。



 JR総武線鉄橋

 タイミングが良ければ、ちょっとしたトレインビューが楽しめます。小説文中では、11:03東京発(始発は池袋)の成田エクスプレス17号が通過した、という設定です。






...時刻は十一時過ぎ。そろそろ折り返し地点である。

 「では、ここ平井大橋で引き返します。どっかの学者先生が発音すると、白井大橋... いや失敬。今日先生いらっしゃらないから、つい口が。」
 「こらぁ、真面目にやれぇ!」 笑っていた余勢に乗って、長女が野次を飛ばす。憎まれ口ではないことは誰が聞いても明らか。ほのぼのしたワンシーンである。

 「あっ、今度は成田エクスプレスだっ」
 巡視船が総武線鉄橋と並行する位置合いになった時、下りの空港行き特急が音を立てて走り抜けて行った。少年は感無量である。




 ヒヌマイトトンボ

 京成押上線の八広側に生息している絶滅危惧種です。京成線の橋梁を架け替える際には、このトンボに配慮しながら、と謳われていますが、実際はどうだったんでしょうね。(→参考情報

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...櫻は一人で「やしろぉ、しきふねぇ」と悪ノリ中。何かと話題のその先生の新弟子さんも同じようなことを思いついている。
(南実)「先生きっと、ヒヌマって発音できないかも」
 課長の話では、八広付近に生息する絶滅危惧種「ヒヌマイトトンボ」に配慮しながら慎重に、京成押上線の架橋工事は行われたんだそうな。
(文花)「そのトンボの話、先生の著書にも出てたわね。南実ちゃん、覚えてる?」
(南実)「発見されると、どんな大がかりな工事も止めざるを得なくなる、とか」



 隅田水門の外来植物

 水門に向かって左岸にはオオブタクサ、右岸にはアレチウリが目に付きます。いずれも在来の植物を脅かす特定外来植物。これは船からではなく、水門側から荒川を見た構図で撮った写真です。(→参考地図 *隅田水門は堀切駅の近くにあります

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 船は北上を続ける。上流に向かって左側の景色が移ろっていく。鐘ヶ淵を過ぎると、
(櫻)「あら、隅田水門ですって」
(千歳)「水門の両脇、何だか草茫々(ぼうぼう)だねぇ」
(櫻)「自分の名前のとこは... フフ」
(千歳)「草刈り機、先生から借りるかな」
 水門左岸はオオブタクサ、右岸はアレチウリ。いずれも外来植物で、その繁茂ぶりは目を覆うばかり。ここで課長が問題提起を入れる。
 「まぁ、自然てのはどこまで放っておいていいのか、逆にどこまで手を入れたらいいのか、悩ましい限りです。小職はどちらかと言うと放任主義ですが。」

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