湧水は干潟を通り川へ

 小説文中よりも数日前になりますが、干潟面には実際にこんな流れと紋様が... 崖地から湧き出てきて、干潟を通り、荒川へ注ぐ、「生きた川模型」です。周りに散らかるゴミが興ざめではありますが、その細やかな流れは見る者の心を洗い、静めてくれます。涼やかな気分に浸りつつ、しばし鑑賞。夏のささやかな想い出です。

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「八月の巻」~C'est la vie. より

...水位が下がるのに引きずられるように、干潟を這う水の流れが目に留まる。流れを辿ると何たることか、崖地から滲み出す細い水脈に行き当たった。晴天続きながら時に激しい雨が降ることが多かった八月。グランドなどに浸み込んだ雨水が出口を求めて、この干潟に注ぎ出してきた、ということらしい。ちょっとした湧水が幾重もあり、支流の態を成している。支流はやがて本流へと束になり、本物の荒川へと注ぐ。その紋様、そのうねりは小細工ながら実に精巧で、「生き物としての川」というのを認識させてくれる。四人はしばし細流(せせらぎ)を追っていた。

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